しまうまのメモ帳

知的かつ霊的なスノッブであると同時に人類の味方でもある道、オタク的な世捨て人であると同時に正義を求める闘士でもある道を求めて

自己啓発書を読み解く (2)

谷本の『キャリアポルノは人生の無駄だ』によれば、自己啓発書が書店の売れ筋コーナーの大部分を占領するようになったのは2005年くらいからのことだそうです*1。そのなかでも長年にわたりセンターの地位をキープしつづけた、いわば自己啓発書の世界での「絶対的エース」ともいえる存在が、勝間和代だといってよいでしょう。彼女は、2007年に『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を、同年に『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を刊行し、その後もベスト・セラーを世のなかに送りつづけています。また、自己の生産性を徹底的に効率化することを図る彼女のスタイルを支持する人びとが「カツマー」と呼ばれ、賛否両論を含めたさまざまな反応を世間にもたらしたこともありました。

 

立花隆佐藤優は、読書案内書である『ぼくらの頭脳の鍛え方―必読の教養書400冊』(2009年、文春新書)のなかで対談をおこなっていますが、そこで佐藤が勝間の『断る力』(2009年、文春新書)をあげていることについて、立花は次のように疑問を呈しています。「雨宮〔処凛〕さんはわかるんですが、『断る力』〔・・・〕勝間和代さんなんかはどうなんですか。僕はちょっと、俗物すぎて、つきあえないなという感じがするんだけど」*2

 

ぼくらの頭脳の鍛え方 (文春新書)

ぼくらの頭脳の鍛え方 (文春新書)

 

  

立花が、勝間について「俗物すぎる」といっているのは、具体的にどのようなことを意味しているのかわかりませんが、労働至上主義的な現代の価値観になんら疑問をいだくことなく、そのなかで成功することを唯一の目標に掲げ、ひたすら効率化をめざして邁進する彼女の姿が念頭に置かれているのかもしれません。

 

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勝間和代『効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法』(2007年、ダイヤモンド社)巻頭カラーページ)

 

こうした立花の発言に対する佐藤の返答は、次のようなものです。

 

彼女に関して、世間で非常に誤解されていると思うんです。彼女の発想とは、基本的にはマルクスの『資本論』で言うところの熟練労働者になれというものだと思うんですね。要するにマネー・ゲームの中で、株を買って、儲けて、資本家になれ、と言っているわけではない。あるいは出世して経営者になれ、というのでもない。断る力を身につけて、これ以上の仕事は引き受けない。そして、自分の時間を持て。ただし、普通に生きていると商品になってしまうから、スペシャリストになれ。つまり、大体が容易な単純労働者ではなく、『資本論』が説くところの熟練労働者になれ、と言っているわけなんです*3

 

 そういうわけで、資本主義に対抗して現実に実効性を持てるような形での対案を出している女性として、雨宮さんと勝間さんを、私は、非常に尊敬しているんです。運動体として組織をつくっているわけじゃない。しかし読者に支持されて、ファンも多い。そして二人は、今の新自由主義の行き詰まりに対して、現実に足がかり、手がかりがある形で、内部から変容していく処方箋を提示しているんですね*4

 

勝間は、現代の状況にただ取り込まれてしまっているのではなく、そうした状況を冷静に見つめ、そのなかで賢く生きるための処方箋を提出しているというのが、佐藤の見方です。そこで今回は、勝間の初期の自己啓発書をとりあげて、こうした問題を中心に考察を開始していくことにします。

 

勝間の自己啓発書のなかでも、とくに多くの人びとに読まれたものとして、『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』があります。この本はすでに刊行から10年以上が経過しており、勉強をサポートするためのさまざまなツールを紹介している箇所などは、おそらく出版当時は先進的だったのでしょうが、現在ではすでに時代遅れになっていたり、多くのひとがあたりまえに利用するものとなっていたりするところもあります。しかし、自己啓発書ブームの火付け役でもある本書は、その後刊行された数多くの類書に受け継がれていく重要な指摘もいち早くなされており、最新の自己啓発書とくらべてもまったくその有効性に遜色がないのではないかと思われます。

 

無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法

無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法

 

 

この本では、いったいなにを勉強することが有益なのかという問いについても、明確なこたえを示しています。

 

 いちばん簡単なのが、明日から仕事につかえることを勉強することです。人間には、さまざまな学習の動機がありますが、そのうちもっとも強いものの一つが、「自分の日々の生活や生き残りのために必要なことを学び、それを反復練習すること」です。したがって、明日から仕事で生かせるもの、使えるものが、忙しい中でも続きやすくなります」*5

 

より具体的には、英語、会計、IT、経済の4つの分野が有益であるとされ、それぞれについて勝間自身の体験を踏まえた具体的な勉強法が語られています。そのなかで勝間は、「私はアメリカ礼賛主義者ではないのですが、いいか悪いかは別にして、現実として、資本主義はアメリカを中心に動いており、優秀な人材や知恵が集まりやすくなっているため、資本主義で儲けるための手法の開発は、どうしてもアメリカのほうが早くなるケースが多いと思うのです」*6といい、そのために英語を学ぶことが大きなアドヴァンテージになりうると主張しています。こうした発想は、現実の社会のありかたにけっして全面的に賛同しているわけではないにしても、現実のニーズを冷静に見つめ、それを踏まえることでうまく対処する方法をさがし求めるという考えにもとづいているように思います*7。現実の社会の姿をしっかりと見据え、そのなかでうまく立ちまわり生き残っていくための、したたかなスタンスが示されているといえるかもしれません。

 

しかし、ここで勝間が語っている、現実の社会におけるニーズとの距離のとりかたには、立ち止まってよく考えてみなければならない問題が含まれているように思われます。先ほどの引用で彼女は、「自分の日々の生活や生き残りのために必要なこと」のために努力することが人間の動機のなかでもっとも強いものの一つであり、そのような分野を勉強の対象としてえらぶことが、挫折することなく勉強をつづけるための秘訣だと語っているのです。

 

これは、現実の社会とそれを冷静に見つめる自己があって、自己が社会のありようを認識することでうまく対処するということとははっきり異なります。なぜなら、「自分の日々の生活や生き残りのために必要なこと」に強い動機をいだくとされている自己は、現代の社会に求められているニーズによって動機づけられているのですから、すでに社会に取り込まれており、その価値観を内在化させているといわなければならないからです。

 

それゆえ、勝間の立場は、正確には次のように説明されなければなりません。すなわち、現実の社会のありかたと、社会のニーズによって動機づけられている自己の両者を正確に把握し、社会のニーズを内面化している自己の動機づけをも利用することで、挫折することなく勉強をつづけることができるようになる、というものです。しかし、はたしてこのような立場は、社会のニーズから距離をとり、そのなかでうまく立ちまわるものだといえるでしょうか。佐藤は、勝間が「資本主義に対抗して現実に実効性を持てるような形での対案を出している」と評価していました。しかし仮に勝間の立場が資本主義に「対抗」するものということができるとしても、それは社会のなかに自己が取り込まれていることを認め、社会のニーズによって自己が動かされていることをも踏まえたうえで「対抗」するという、かなり複雑な戦略であることになります。

 

しかし、このことの意味を考えることはあとまわしにして、もうすこし本書のなかで示されている勝間の考えについて検討をつづけていくことにしましょう。彼女は、「社会人の勉強の最大の問題点、つまり、勉強を妨げる「敵」は何でしょうか?」と問いかけ、「答えは、モチベーションが続かないこと」*8と述べています。では、どのようにしてこの問題を克服すればよいのでしょうか。彼女は次のようにこたえます。

 

 簡単です。勉強することによって、年収が、実感できるスピードで上がっていけばいいのです。逆に言えば、年収アップにつながる勉強をすることです。
 各種の研究によると、年収がだいたい1500万円になるくらいまでは、年収と幸福感の間には正の相関があるといわれています。つまり、年収が上がるほど幸福度が上がる、というわけです。これは「幸福の経済学」と呼ばれています。

 したがって、もし幸せになりたいのであれば、年収を上げること。そして、年収を上げる手っ取り早い道は、年収増につながるような勉強をして、それを実践の場で生かすことなのです。*9

 

ここで注意するべきなのは、この本がただ収入のアップを目標に定め、そのための効率的な手段として勉強することを説くのではなく、収入のアップが実感できることで勉強へのモティベーションを維持し、勉強をつづけることができると説いていることです。そうした、いわば「正のサイクル」をつくり出すことが、この本ではめざされているということができるでしょう。

 

しかしこのことは、勝間の「対抗」戦略について、われわれがさきほど暫定的に述べておいた理解が、まだ正確ではなかったということを示しています。さきほどわれわれは、勝間の立場が、単純に社会のありかたを冷静に観察し、そのなかでうまく立ちまわるための戦略として理解するべきではないといいました。むしろ、社会とその社会によって動機づけられている自己のありかたを冷静に観察し、両者の関係を巧みにコントロールすることでうまく立ちまわるというのが、勝間の「対抗」戦略だと理解されなければならないというのが、さきほどの結論でした。

 

ところが、まさにこうした「対抗」戦略にもとづいて社会のなかで巧みに立ちまわることにより、収入のアップが実感できるようになると勝間は語っています。そして、そのような実感が得られることで、われわれの勉強へ向かおうとするモティベーションが維持されつづけるという、「正のサイクル」が生まれるというのです。つまり、「対抗」戦略がみごとに成功することによって収入のアップが実現され、それが次なる動機づけを生み出すというのですが、ここでは「対抗」戦略を取る自己が次のステップにおける「動機づけられた自己」へと滑り落ちていき、自己が社会に「対抗」する主体であるゆえんは無限に先送りされつづけることになります。たしかにわれわれは、社会のありようを冷静に見つめ対処することで、社会に「対抗」する戦略をとっているはずなのですが、それにもかかわらず、このような自己が歩んできた軌跡を振り返ってみるならば、そこに現われるのは、自己が一貫して社会のニーズに動かされてきた過程にほかならないのです。

 

次にわれわれは、この本の続編である『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』で展開されている時間管理術にも目を向けてみたいと思います。

 

無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法

無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法

 

 

勝間はこの本のなかで、「なぜ時間管理はうまくいかないのか」という問題を掲げて、それは時間管理にはだれにでもあてはまるような「万人向けの決定版」がないからだとこたえています。

 

 誰か他の人の方法を学ぼうとしてもうまくいかないのは、人それぞれで生活習慣やその他の条件が異なるため、最適な時間の使い方も人によって異なるからです。
 時間の使い方とは私たちの生き方そのものです。したがって「万人に役立つよりよい生き方」が見当たらないように、時間管理にも「万人向けの決定版」はありません*10

 

それでは、どうすればわれわれはよりよい時間管理の方法を獲得することができるのでしょうか。勝間は次のような提案をおこないます。

 

 ベストな方法がない中、自分の長年の生活習慣を変えていく方法はただ一つ。「ベターな方法の積み重ね」です。はじめはそれほど効果がないように見えても、細かいちょっとしたところに意識を強く向けて、一つ一つ自分のこれまでの方法を少しずつ変えていくのです*11

 

勝間は、「必要なのは、ひたすら継続的な改善です」*12といい、トヨタの「カイゼン」とおなじ発想だと述べています。

 

もう一つこの本のなかで注目するべきなのは、勝間が「時間投資マトリックス」と呼ぶ図にしたがって、われわれの日々の時間を分類していることです。この図は、縦軸「重要度」と横軸「緊急度」による四つの象限に区分されており、これによって「Ⅰ消費の時間」「Ⅱ浪費の時間」「Ⅲ投資の時間」「Ⅳ空費の時間」が区別されます。

 

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(勝間『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』108頁)

 

「Ⅱ投資の時間」は、「緊急ではないが重要」なことに使われる時間で、具体的には「自己投資のための学習や技術習得」「集中力を高め、健康を維持するためのスポーツや体力づくり」「ワークライフバランスを保ち、人生を充実させるための家族や恋人との団らん」*13などの時間です。こうした活動はあとまわしにされがちですが、じつはこうした活動によって「消費の時間」の生産性が大きく変わることになると勝間はいい、「時間管理完全のもっとも大切な基本は「Ⅲ投資の時間」をどう確保するのか、ということに尽きると言っても過言ではないでしょう」*14と述べています。

 

その他の時間についても簡単に見ていくことにしましょう。まず「Ⅰ消費の時間」は、「緊急かつ重要」なことに使われる時間で、具体的には「お客様との仕事での打ち合わせ」「営業訪問」「仕事上のEメールの読み書き」「プロジェクトの実行、予算の作成」「集中力を保つために必要な休憩時間」*15などがあてはまります。つづいて「Ⅱ浪費の時間」は、「緊急だが重要でない」ことに使われる時間で、具体的には「興味のない仕事のだらだらとしたミーティング」「長い通勤時間や移動時間」「あまり意味があるとは思えないが期限までに提出しなければならない仕事の書類の制作」「ついだらだらと見てしまう決まった曜日のドラマ」「惰性で続く職場での飲み会」*16などがあてはまります。最後に「Ⅳ空費の時間」は、「緊急でも重要でもない」ことに使われる時間で、具体的には「家でついだらだらと行ってしまうネットサーフィン」「休みの午前中の惰眠」「気づいたら五時間もプレイしていたロールプレイングゲーム」「友人や恋人とのだらだらとした中身のないおしゃべり」「家で一人晩酌をしているうちに寝込んでしまった時間」*17などとされます。

 

この本で提唱されている時間管理術は、上の時間の分類をもとにして説明がなされており、その要諦の一つは「「Ⅱ浪費の時間」と「Ⅳ空費の時間」を抑えて、そして「Ⅲ投資の時間」を増やすことで、「Ⅰ消費の時間」を効率化するということ」*18だと述べられており、そのための独自のテクニックを説いています。

 

たとえば手帳の使い方について述べられているところでは、「一般の手帳の問題点は「Ⅲ投資の時間」や「Ⅳ空費の時間」については管理できていない、ということ」*19であると指摘し、次のように主張しています。

 

 しかし、時間を有効に使うためにもっとも重要なのは、いかに「Ⅲ投資の時間」に時間を割り振るか、そして投資の効果をどうやって測定するのか、ということです。
 だからこそ、「Ⅰ消費の時間」「Ⅱ浪費の時間」だけではなく、「Ⅲ投資の時間」「Ⅳ空費の時間」も手帳で目に見えるようにしないといけないのです。
 なぜなら、見えないものは自覚できない、自覚できないものは管理できないためです*20

 

こうして勝間は、「時間管理術とは、生活習慣を言い換えたものと考えることができます」*21といい、「時間管理改善とは生活習慣改善とほとんど同じなのです」*22と述べることになります。

 

トヨタでは、「昨日と同じことをやること」を「作業」と呼び、「明日からより良い仕事ができるように準備すること」を「仕事」と呼ぶことに勝間は言及していますが、「時間管理改善とは生活習慣改善とほとんど同じ」なのだとすれば、勝間がこの本のなかで提唱しているのは、われわれの生活のトータルな「カイゼン」を継続していくことだったということができるでしょう。

 

ところで勝間はこの本のなかで、著者自身の考えに対して寄せられた批判に対して、次のようにこたえています。

 

 時間管理の話をすると、私の時間の使い方で「本当に毎日が楽しいのですか」と真顔で聞かれることも多いのです。そうした方はたいてい「Ⅳ空費の時間」の重要性、リラックス時間の必要性を主張されます。
 しかし、一般的にゆとりやリラックスの時間として考えられている「Ⅳ空費の時間」より「Ⅲ投資の時間」が充実していたほうが、日々の充実感は強くなります*23

 

わたくしは、このような感じ方が偽りの充実感だとか、どこかべつのところに真の幸せがあるはずだとかいったことを主張したいわけではありません。ただ、ここに見られるような勝間の考えに含まれている意義を正しく理解するとともに、そのことを通してわれわれの自己が自己自身をある閉じられた円環の内へと囲い込んでいくようなメカニズムが存在していることを見定めたいと考えています。

 

もう一か所、勝間への批判に対する彼女の反論を引用しましょう。

 

 私の本やブログを読んだ人から、「そこまできちきちと時間効率や物事の効率ばかりを追いかけてくたびれないのか」「そんなに効率化してしまって、毎日が幸せなのか、楽しいのか」というようなことを指摘されることがあります。
 しかし「効率化=楽しくない、幸せでない」というのは大きな誤解です。より楽しく、幸せな時間を増やすために、判断に迷う時間を減らしていくのです*24

 

 効率化が楽しくなさそうに見えるのは、与えられたものを、めいっぱいがんばってこなしていくようなイメージだからではないでしょうか。しかし、真の効率化とは、自分がしたいことだけを、自分のコントロールのもとで、自分の好きなように行う、ということだと思います。効率化することで、余裕も豊かな時間も生まれます。どうでしょう、結構楽しそうだと思いませんか?*25

 

ここに見られる「真の効率化とは、自分がしたいことだけを、自分のコントロールのもとで、自分の好きなように行う、ということ」ということばは、勝間の考えかたの特徴を典型的に示しています。彼女の考える「効率化」は、「Ⅲ浪費の時間」や「Ⅳ空費の時間」を増やすために、仕事のために費やされる時間の効率を上げることではありません。それは、仕事だけではなく、すべての時間の使い方に対してたえず「カイゼン」をつづけていくことであり、それによって得られる充実感こそが重要だと考えられているのです。それが、彼女の考える「自分がしたいことだけを、自分のコントロールのもとで、自分の好きなように行う」ことだったといってよいでしょう。しかしこのようなしかたでの「主体化」は、社会への「隷属化」ともはや見分けのつかないものになっているといわなければなりません*26

 

さて、今回は勝間の代表的な自己啓発書のうちにひそんでいる問題について多少踏み込んで考察をおこなってきました。しかし、勝間のこうした問題は、彼女の自己啓発書だけに見られるものではありません。たしかに、今回とりあげた勝間の著作は、彼女の出世作となったものではありますが、その後の彼女は自己啓発書の執筆だけをおこなっていたわけではなく、むしろそこで提出された考え方を敷衍し、現代の日本社会や日本人の意識を刷新することを企図するような著述活動に邁進していきました。それらの著作では、いわば経営学的ないし会計学的な考え方にもとづく彼女の社会構想が明確にされることになります。そしてそれらの著作においても、今回見てきた問題が、よりいっそう深刻なかたちで現われているように思われます。次回は、そうした問題について論じてみたいと思います。

*1:谷本『キャリアポルノは人生の無駄だ』8-9頁参照

*2:立花隆佐藤優『ぼくらの頭脳の鍛え方―必読の教養書400冊』(2009年、文春新書)204頁

*3:立花、佐藤『ぼくらの頭脳の鍛え方』204-205頁

*4:立花、佐藤『ぼくらの頭脳の鍛え方』206頁

*5:勝間和代『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』(2007年、ディスカヴァー・トゥエンティワン)126-127頁

*6:勝間『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』128頁

*7:「実際に、大阪府立大の鹿野繁樹講師がリクルートと共同で2005年に、1万4000人の勤労者を対象に行った調査では、英語を職場で使う人のほうが、使わない人に比べ、女性で40%、男性は18%、年収が高いという結果が出ています」(勝間『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』142頁)というデータも示されています。

*8:勝間『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』3頁

*9:勝間『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』3-4頁、なお横書き表示に合わせて、一部漢数字をアラビア数字に改めた箇所があります。

*10:勝間和代『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』(2007年、ディスカヴァー・トゥエンティワン)33頁

*11:勝間『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』35頁

*12:勝間『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』208頁

*13:勝間『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』109頁

*14:勝間『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』110頁

*15:勝間『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』110頁

*16:勝間『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』111頁

*17:勝間『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』112頁

*18:勝間『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』219頁

*19:勝間『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』219頁

*20:勝間『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』219頁

*21:勝間『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』207頁

*22:勝間『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』207頁

*23:勝間『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』122頁

*24:勝間『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』148-149頁

*25:勝間『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』149頁

*26:「主体」という語は、ヨーロッパ語のsubject(英)、sujet(仏)、Subjekt(独)の訳語ですが、これらの語には「主体」以外にも「臣民」の意味があり、さらにその形容詞には「従属している」「支配されている」「(影響を)被る」といった訳があてられます。ミシェル・フーコーが、近代的な主体性の形成を「主体化=隷属化」(assujettissement)ととらえ、その内的論理の解明に力を注いだことはよく知られているとおりであり、われわれものちにその議論の一端をとりあげたいと考えています。